釉薬のよくある失敗例:濃度編

織部が真っ黒に発色しました!

美濃は織部の産地でもあるので、織部の釉薬を多くの方々にご愛顧頂いています。

ところが、焼いてみると、真っ黒に発色しました!というご相談があります。

何が原因でしょうか?

失敗例

真っ黒に発色した織部作品

成功例

狙った濃度で釉薬を掛けることで、

織部の本来の深い緑色に発色することができました


回答

「釉薬を濃く掛けるとか、うすく掛けるってどういう意味ですか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

まず釉薬は、原料と水で出来ています。つまり、水の量が多ければ、「釉薬がうすい」状態。逆に水の量が少なければ(ドロドロの状態)、「釉薬が濃い」状態です。

どうやって調整するかというと、釉薬をもっとうすい状態にしたい場合は、水を入れて掻き混ぜながら、ボーメ比重計で計ります。

織部に限らず、釉薬ごとに適正な釉薬濃度がありますので、是非気をつけてやってみてください。

油滴の玉を大きく出すには?

油滴天目(ゆてきてんもく)に憧れて挑戦してみました。

結果は油滴の玉が小さくてやや迫力に欠ける気がしています。油滴の玉を大きく出す知恵は何でしょうか?

失敗例

油滴の玉が小さくてやや迫力に欠ける油滴天目の作品

成功例

玉が大きい油滴天目の作品


回答

この油滴天目に魅せられる方は多く、とてもご質問が多いです。

また専門書を読むと様々な体験談が載っており、Aさんはこう言っている…とか、Bさんはああ言っている…とか、情報に振り回されて困って相談に来られる方も多いです。

この場合、焼成方法は問題ないです。

改善策としては、釉薬掛けの濃度が問題となります。

油滴の玉の違いは釉薬の掛かり方(厚み)の差で起きています。つまり、分厚く釉薬が掛かっているほど、油滴の玉が大きくなっていきます。(あまり分厚く掛けすぎると、焼きあがったときに噴火したような穴が吹き出ますので要注意。)

まずこのポイントを押さえましょう。